近年、通称『アレクサンダー・スイミング』(The Alexacder Swimming)と称される水泳指導法への関心が高まっています。欧米の水泳誌で特集されたり、“ストレスなき水泳”(Swimming without Stress)などとメディア情報誌で紹介されたりしています。ここに紹介するのもそんな情報誌に記載された一つ。
What is the Show Method of Swimming
ショー・メッソドの考え方
~泳ぎ方への新しいアプローチ~
姿勢矯正しながら体幹中心の泳ぎ方を学ぶ。
1996年、イギリスの元水泳選手だったスティーブンクョーとリモ・レッシュショーの二人が始めた。彼らは共にアレクサンダー・テクニークのプロ施術者である。
この水泳学習メソットの最大の特徴はアレクサンダー・テクニックの基本原則を応用している点にある。すなわち…
◎頭→首→背中を一体化した体位のバランス。頸椎を中心としてメンテナンスを重視する。
◎最小限の力で泳ぐ。ムダやムリな力を極力使わず、効率的な水泳を目指す。
この二つの基本コンセプトから派生するアプローチを学習理論に基づいた最少の反復回数で行う。少ないエネルギーでバランスの良い泳ぎ方をスキル練習する。
水泳は主要な大筋肉群を総動員する極めて優れた全身運動である。血行促進、関節可動域の拡大に大変役立つ。性別や年齢に関わらず、水泳に匹敵する運動は外に見当たらない。手足と体の動きを関連する大関節の柔軟性をリセットする運動効果が高い。
特にこのショウ・メソッドで効果大とされるのが以下の4つの関節、それに関与する筋肉群をリセットする。すなわち…
◎首 Neck
◎肩 Shoulders
◎ヒップ Hips
◎脚の付け根 Groin
ショウ・メソットのクラス体験者を対象とした研究で解ったことの一つは減量効果が高いということだった。この方法を水泳プログラムではなく、ストレス軽減と体重管理を目的としたダイエット・プログラムとして導入するボディークリニックも現れた。
ショウ・メソッドでの水泳クリニックでは陸上でのストレスのない姿勢や歩行のスキル学習も合わせて行っている。いずれもアレクサンダーテクニックの原則を適用したものだ。水陸双方で重要視されているスキル項目は以下の4つだ。すなわち…
◎対称性 Symmetry
◎経験の質 Quality of experience
◎可能な限り最高のボディの配置右足進
Promoting the best possible body alignment
◎関節への最低限の負担
Putting minimum strain on the joints
水泳では泳ぎの各動作を分解し、ストロークの本質的な要素で活かす動かし方を覚えることを強調している。ムリやムダな動きを極限まで修正する。このようなスキル学習を繰り返すことで、日常生活での様々な身体意識が改善され、体の歪みや痛みへの損傷の危険性を最小限に抑える効果がある。
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世界的に有名な姿勢矯正の一つ、アレクサンダー・テクニックを水泳へ応用したヒト。スティーブン・ショウ(Steven Shaw)。イギリス人。2001年夏、彼を日本に招き、水泳講習会を開催。高齢化社会への準備として成人水泳指導法に<一石を投じる>思いで招きました。結構な反響があったのですが、成功した講習会ではなかった。その理由は。その後、実際に現場で導入した処は少なかったからです。
泳ぎ方を学ぶ、特に短時間で泳げるようになるわけではない。そして、速く泳けるわけでもない。むしろ真逆で、時間がかかる。速く泳げる訳でもない。そんな当時としては“的外れ”の水泳指導法にウンザリしたのかも知れません。あれから13年間が経ちました。そろそろ真逆な水泳指導法。つまり、ストレス軽減、減量、姿勢矯正するための水泳指導法が受け入れられる時代が来たのかも知れません。
AD研 今野 純