どの世界でも「この人が居たから今がある」と言われるヒトがいるものです。フィットネスの世界で言えばその人がジャック・ララネ(Jack LaLanne)です。
ボディービルダー⇒ハリウッドスター⇒政治家(カリフォルニア州知事)になった超有名人アーノルド・シュワッネッガーは愛弟子の一人。ジャック・ララネは彼自身プロボディービルダー第一号。体育系TVタレント第一号。1950年にスタートしたTV番組”American Be Fit”は家事をしながら気軽にできる様々なイージーエクササイズを紹介。要するに”ながら運動”は茶の間の人気となり長寿番組となり1985年まで続いた。また、運動と栄養は表裏一体とする考え方を広めたのも彼。彼はアイデアを商品化。”Power Juice”の商品名で販売され、ヒット商品になった。これが大豆の粉末(プロティンパウダー)です。サプリメントのルーツとなりました。
しかし、商才に長けたジャック・ララネの真骨頂はフィットネス・ビジネスと言う新市場を開拓したパイオニアだったことです。戦後早々オークランド(カリフォルニア)に第一号店をオープンした”Jack LaLanne’s European Health Spa”は大当たり。全米初のチェーンクラブ化に成功。店舗数200。後々ロンドン(イギリス)とパリ(フランス)へ海外出店。よくある”タレント商法”で成功したのではなく、彼の事業コンセプトが当時、革新的だったから成功したのです。つまり、マシーンウエイトを中心としたジム(Gym)とサウナ&泡風呂を中心としたスパ(Spa)の組み合わせでした。このGym&Spaは、1970年代にエアロの登場でスタジオ(Studio)が加わり、大女優ジェーン・フォンダ(Jane Fonda)がチェーン化した”Workout”が一大ブームになるまで、米国フィットネス業界の”定番的”なビジネスモデルだったのです。
そんな訳で彼は時に”神様”(Fitness Guru)あるいは”ゴッドファザー”(the Godfather of Fitness)と称されるようになったのです。彼の晩年の日々を取材したインタビュー記事(First Fitness Superhero)が夕刊誌USA TODAYに載りました。当時、80才後半だったジャック・ララネは週2回のウエイトトレーニング(陸上エクササイズ)と週2回のハイドロトーン(水中エクササイズ)をしていること。毎朝、7つのストレッチを欠かさずしていること。そして、今でも元気の素は”パワージューズ”だと抜け目なく自己PRしていたことが印象に残りました。
晩年、ハイドロトーンの愛好者だったフィットネスの”神様”が永眠。享年96歳。安らかに…。合掌。
AD研 今野純