フィットネスクラブを中心としたスポーツ施設の売上高は1・2%増だった。20~30代の利用が減るなど新規会員の獲得は依然として大きな課題だが、既存会員の利用が底堅い。高単価の個別指導への参加者も増え始めている。
売上高ランキングの1位はコナミスポーツ&ライフ。2位セントラルスポーツ、3位ルネサンスとともに前回調査から順位の変動はなかった。各社とも大きく新規会員数を伸ばしているわけではないが、既存会員の継続率が向上しており、経営基盤は比較的安定しているといえる。
1年前と比べて料金を変えたかどうかをきくと、「変えていない」が81・6%で最も多かった。「料金を引き下げた」は10・2%にとどまった。各社とも値引きによる集客より、月会費とは別に有料で提供する個別指導など、付加価値の高いプログラムを充実させることで新規会員を獲得する戦略をとっている。
ただ、東日本大震災の影響で「11年度の売上高が5%未満減少する」との回答が36.7%に達した。最大の書き入れ時となる新年度直前に当初目標より会員の獲得が進まなかったことが大きい。メガロスが人員配置の効率化でコスト削減を図るなど、利益確保のため店舗の運営体制を見直す企業も目立つ。
【第29回サービス業総合調査】
温浴施設 2.4%DOWN 「客数減少」4割
温浴施設の売上高は2.4%減。4年連続のマイナスとなったが、減収率は前回調査の2.3%とほぼ横ばいだった。最大手の極楽湯は2011年3月期の売上高が2.5%増。前の期に開いた3施設の通年稼働に加え、青果など物販の強化が寄与した。1年前と比べた客数、客単価の動向については約4割の企業が「やや減った」「減った」と答えた。また、1年後に同業との競争が「緩和する」と回答した企業はゼロで、経営環境は厳しい状況が続いている。リピート客を増やすための取り組みとしては5割強が「飲食施設の強化」と回答した。
東日本大震災の打撃も大きい。回答企業の約25%が、震災により10%以上売上高が減ったと答えた。業界4位の常磐興産は震災直後から10月まで福島県いわき市で運営する中核施設「スパリゾートハワイアンズ」の休業を強いられた。
【第29回サービス業総合調査】
◆◆◆ 2011.11.9 日経MJ ◆◆◆