高齢者向けヘルスクラブ――心身刺激の場、米で注目(流行ウオッチング)
米国では50歳代以上のベビーブーマーや、更にその上の高齢層を対象にしたヘルスクラブが注目されている。1946~1964年生まれのベビーブーマー層は現在、49~67歳。その人口は7800万人に上り、全米人口の26%を占め、購買意欲も高い層である。この層や、さらにその上のシニア層にとって、最大の関心事は健康だ。医療費が高騰化する米国では、健康を維持し、病気予防のための努力は必須だ。そのため、50歳以上の人達のヘルスクラブ利用率は、年々増加しており、50歳以上を対象にした専門ヘルスクラブ人気を集めている。
その中でも、パイオニア的存在なのがフィットネスクラブ「ニフティ・アフター・フィフティ」だ。ニフティ(nifty)は英語で「粋で役に立つ」との意味。ベテラン医師であるシェルドン・ジンバーグ博士が2006年に、カリフォルニア州ウイッターに第1号店を開いた。今年6月には、同州グレンデールにも施設をオープンして、今や全米42カ所で50歳から95歳までの年長者向けフィットネスクラブを運営している。
入会すると、まず、この年齢層専門のトレーナーとの面談があり、個人の身体状況に応じたプログラムが組まれる。運動機器も年齢に適したものが採用されており、トレーナーが常時、参加者の運動を見守っている。脳の活性化を促すというブレインエアロビクスや、自動車の運転能力を低下させないためのシミュレーションプログラムなど、コンピューターを使うエクササイズも開発している。
施設の広さは平均3500平方フィート(約325平方メートル)。各施設の収容可能人数は800~1000人。入会金は無料。基本コースは、週2回のプログラムで、月額39.95ドルから。エクササイズはしたいが、若者中心のヘルスクラブに行くのは、気が引けるという人も少なくない。自分に合ったペースで、定期的に体を動かしたいというベビーブーマーやシニア層にとって、同年代の集まるヘルスクラブは心身共に刺激の場となっている。
◆◆◆ 2013.8.7 日経産業 ◆◆◆