ウルス・ガンバーさんの趣味は多彩。特に家庭菜園と家具作りはプロ顔負けの腕です。以前、氏から日本庭園に関心があると聴いていたので横浜本牧の「三渓園」へお連れしました。明治期に生糸貿易で財をなした実業家原三渓のゲストハウス。17.5haの広大な敷地に国宝級の建物が17棟。中でも京都から移築した旧紀州徳川家藩別邸「臨春閣」の美しさは言葉では表現できないほど。日本の「美」の全てが凝縮されています。ガンバーさんは暫し立ち止まり、食い入るように観ていました。珍しく写真を数枚。抹茶を立ててくれるコーナーがあり、一服。裏千家のお手前とか。上品な老女(ボランティアなのだそうですが…)が流暢なブリティッシュ・イングリッシュで茶道の由来などを簡単に説明してくれました。
そして、最後の晩は我が家で一泊。深夜まで話し込みました。ATRI(米国アクアセラピー&リハビリ研究所)のコンセプト、例えば”Pre Fit & Post Rehab”(フィットネスとリハビリの中間層の人々へのセラピー指導)や”Aquatic Therapy Trinity”(グループ指導⇔セルフ練習⇔パーソナル指導の3D構造)など、リハビリ分野での医療行為とはチョット異なるセラピー指導の考え方に強い興味を示し、数々の具体的な質問をしてきました。特にプログラム・メニュー、つまり基本動作(ファンダメンタル)と規定動作(プロトコール)の組み合わせに話しが及ぶと、時折、沈黙、考え深そうに聞き入っていました。
翌朝、横浜駅にある空港バスターミナルまでお送りしたのですが、それまでの車中、前夜の質問の続きでした。よほど気になる事だったようです。帰国早々、関連病院の経営建て直しに関する大切な会議があるとのこと。「よいヒントを貰った」と感謝されました。また来て欲しいヒトです。
今野 純