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関節リウマチ患者への水中運動プログラム    2014.06.19

関節リウマチ患者への水中運動プログラム
by ブランディ・ヴェツウ(Brandi Fish-Vitue)
Aquatic Life for Rheumatoid Arthritis


関節リウマチ(Rheumatoid Arthritis)~以下RAと言う~患者数は総人口の1~2%。近年、増加傾向にある。RAは自己免疫疾患。何らかの理由で体内の健康な組織の免疫システムが破壊される病気。主に関節への影響が大きく、病状としては硬直、腫脹、機能喪失が生じる。RAは他の関節疾患に比べ、群を抜く深刻さがある。RAは完治することはなく、進行を遅くする治療しかない。早期発見、早期治療が重要だが、一生涯、RAと付き合ってゆかねばならない。

関節リウマチ 1
関節リウマチ 2

RA患者の多くは25~40歳で発病。治療が遅れると日常生活(Activities of Daily Living)~以下ADLと言う~に支障が生じる。特に組織が破壊された関節が痛烈に痛み出す。痛みなどの病状に個人差が大きいがRAの特徴。従って、病状の進行とADLの状態との関係を事前に診断することは難しい。

近年のRA患者の治療法として注目されているのがプールでの水中運動の科学的な研究だ。適度な運動を定期的に水中でした場合、明らかに進行を遅らせ、ADLを維持する治療効果が高い。この場合、RA患者への運動プログラムは、同世代の健康なヒトが行う標準的な運動プログラムのほぼ半分程度の強度と時間だった。

米国関節炎財団(American Arthritis Foundation)が提唱しているRA患者向け水中運動プログラムの考え方は以下の通り。すなわち…。

RA患者向けアクアプログラムの15の運動目的

1)安全で楽しい運動の実施
2)ADLのレベルアップ
3)前向きな心構えの構築
4)行動力と思考力のアップ
5)健康意識のアップ
6)フィットネスへの関心の高ま関節リウマチ 3
7)関節痛の抑制と予防
8)関節可動域の拡大
9)筋力アップ
10)身体バランスの向上
11)疲労回復力のアップ
12)心肺持久力の向上
13)姿勢の矯正と維持
14)適正な呼吸法の修得
15)痛みへの対処法

水中での運動プログラムを実施した場合。RA患者が得る最大のメリットは血行が良くなること。それによる痛みの制御だ。血行が良くなるとそれに比例するように関節の広がりも良くなる。要するに、浮力による運動効果がRA患者へのメリットを保証する。水圧が静脈還流を一層高め、粘性のある水抵抗が適度な筋力トレーニングになる。以下の通り…。

水中運動の代表的な5つの運動効果

◎柔軟性の向上
Flexibility (to improve range of motion through dynamic & static stretching)

◎筋力の向上
Muscle & Joint Strengthening

◎血行の向上
Cardiorespiratory & Muscle Endurance

◎身体バランス
Balance (posture & coordination)

◎呼吸の改善
Breathing Techniques (e.g. chest expansion exercises)

RA患者への水中運動プログラムでの運動効果を科学的に研究した事で解ったことの一つ。それは意外にも患者一人独りへの個別な運動指導よりも小グループでの集団指導の方がより良い結果が出たことだ。RA患者同士が互いに励まし合い、途中で挫折が少なかった。前向きな心の持ち方に変化した。など、社会的相互作用の側面から、集団指導の方が良い影響があった。

RA患者への水中運動プログラムの研究チームが導き出した結論。それは患者自らが運動への参加意識が高まり、継続的に運動する習慣が身に付いたヒトが多い。そして、日頃、ADLで関節への保護意識が格段に高まったヒトが多い。

プールでの運動と併用して自宅で出来る簡単な筋力トレーニングとして米国関節炎財団が奨励していることは、椅子から立ち上がるシミュレースクワットの練習だ。RA患者は中程度の強さで自体重を支える筋力トレーニングが効果的だと言っている。

以上

【AEA科学委員会レポート/要約抜粋】  訳:アクアダイナミックス研究所


世界遺産、古代ローマ遺跡「カラカラ大浴場」を創設者カラカラ帝の持病、関節炎との言い伝えがあります。当時から関節痛には水浴や効く。水浴は若返りの妙薬とか…。水中に入れば無病息災とか…。太古から伝承されてきた様々な標語があります。水と四大特性(浮力・水圧・抵抗・水温)を活用すれば三大効能(血行・関節・筋肉)に効果大と言うものです。

5 今野純不治の病「関節リウマチ炎」の方へ水中運動がイイ。それも患者同士を小集団化した方が効果があったとする結論。ややもすると個別指導の方がイイ…と思われていたので、一石を投じる内容になっています。

AD研究所 今野 純