■「腰も膝も痛い」…推計680万人 <厚労科学研究レポート> 2015年8月19日
膝痛・腰痛の両方に悩む人は全国で680万人と推定されることが、 厚生労働科学研究「膝痛・腰痛・骨折に関する高齢者介護予防のための研究: 大規模住民コホート(LOCOMOスタディ)の追跡」(主任研究者・東京大学大学院医学系研究科特任准教授、吉村典子氏)2014年度総括研究報告書で わかった。分担研究では、介護予防のための多くのエビデンスを得ることができたといい、ロコモとメタボの構成要素と軽度認知障害には因果関係が あることなどを示唆。膝関節の痛みや機能低下は「抑うつ」に関連していることも報告された。
研究班では、超高齢社会となった日本で、膝痛・腰痛・骨折などによる要介護高齢者の低減には、運動器障害とその主要原因疾患に関する日本人の 疫学エビデンスを構築し、「危険因子を解明することが必須」と指摘。しかし、「それらは皆無に近かった」。こうした状況を受けて、日本において 運動器障害予防目的で実施されてきた代表的な9地域コホート研究のうち、8 地域の情報を統合、1万2,019人(男性3,959人、女性8,060人)の大規模統合 コホートを構築した。運動器疾患予防を目的としたコホートとしては「世界的にみても類を見ない規模」という。膝痛と腰痛について情報が得られた 9,046人を分析。その結果、膝痛・腰痛を合併している割合は12.2%で、男性が10.9%、女性が12.8%。この有病率をもとに計算すると、膝痛・腰痛の 合併者は680万人(男性280万人、女性400万人)と推定されるとしている。男性は年齢とともに高くなるが、女性は60~79歳で最高値になり、80代で 低下傾向にあったという。分担研究者が担当する各地域コホートではロコモティブシンドローム(運動器症候群)などに関する研究を実施。 後期高齢女性997人を対象とした調査では、腰痛と膝痛はロコモの促進因子で あることが示唆された。
65歳以上の913人を平均7.9年観察した研究では、膝痛・腰痛の有無は生命予後への直接の影響は少ないが、膝痛があると要介護となる危険性が 高いことが分かった。「高齢者の多くの膝痛は変形性膝関節症と関連しているものと考えられた」としている。一方で、腰痛の骨粗鬆症や椎体骨折 との関連性は膝痛に比べて低く、様々な他の要因が腰痛に影響を与えていることが示唆されたとしている。平均年齢75.7歳の1,000人を対象とした解析では、 サルコペニア(筋肉減弱症)の有病率は男性13.8%、女性12.4%で、「男女差はなかった」とした。また中年期の運動経験がサルコペニアの リスクを約半分にすることがわかったという。「今後のサルコペニアの予防に有益な情報となると考えられる」としている。
1,384人対象の3 年間の追跡調査では、ロコモとメタボの構成要素と軽度認知障害はお互いに因果関係があることを確認。「メタボの予防が ロコモの予防に、ロコモの予防がメタボの予防に、さらに軽度認知障害の予防がロコモやメタボの予防につながる可能性があることが分かった」 としている。今後のエビデンス蓄積により、要介護の効率的な予測、予防の可能性が示唆されたとしている。地域高齢者を対象とした573人 対象の解析では、膝関節の痛み、機能低下ともに、将来の抑うつと関連していることを確認。「とくに痛みでは、夜間床に入っても痛いようだと、 将来の抑うつの危険性が高まっていた」という。機能に関しては、「靴下の着脱」などの日常動作や、「車や浴室への移動」に支障があると、抑うつの 危険が高まることが示された。これらの情報は外来等で聴取可能なことから、「抑うつのハイリスクを示す項目として役立てることが可能と考えた」 としている。報告書では、分担研究者らの独自の観点により、 「高齢者要介護予防のための多くの有益なエビデンスを得ることができた」 としている。
健康産業新聞
■ 昨年度(2014年)の医療費 約40兆円に 2015年9月4日
概算でおよそ40兆円。12年連続で過去最高を更新。年率8%増。厚生労働省は、「高齢化の進展や医療技術の高度化によるもので、今後も増加傾向は続くとみられる」としています。
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http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150904/k10010215611000.html
■フィットネス、シニア接近、日テレ、ティップネス買収発表、若者開拓には危機感 2014年11月24日
フィットネスクラブに異業種が接近している。日本テレビホールディングスは21日、サントリーホールディングス(HD)子会社で同業界4位のティップネス(東京・港)買収を発表した。シニアに支えられ業界は拡大基調でM&A(合併・買収)は続く見通し。だが若者の開拓は遅れており、筋肉質な経営体質にはシニアと若者を両輪とした事業モデル創出が課題となる。
日テレはティップネスの筆頭株主であるサントリーHDのほか、丸紅からも株式を買い取り完全子会社化する。買い取りは12月下旬で、買収額は未定。
フィットネスクラブ会員の主役はシニアだ。経済産業省によると全体の3割が60代以上で、健康志向に支えられ市場規模は拡大基調だ。
総務省などによると、65歳以上が人口に占める割合は現在25%から2050年には39%になる。多角化を狙う異業種にとっても元気なシニアが集まるこの業界は宝の山だ。日テレの狙いもこの層への接近にあり、主力のコンテンツ事業との相乗効果を模索する。
業界2位のセントラルスポーツが昨年、明治ホールディングスから非中核事業のクラブ事業を買収するなどM&Aが相次ぐ。再編への防御策として業界3位のルネサンスは今月、親会社のインキ最大手DICから自社株の約3割分を買い付けることを決めた。
成長が見込めるフィットネスクラブを巡り、今後も再編が進む可能性は高い。だがシニア頼みには限界がある。
4月の消費増税後も微増が続いていたフィットネスクラブの売上高(経産省調べ、速報値)は、9月に前年同月比0・5%減と2年8カ月ぶりにマイナスに転じた。前年同月が高水準だった反動との見方もあるが、業界内には危機感がじわりと広がりつつある。
「本当は20~30代に入ってもらいたいが、来るのは60代以上ばかり」。東京・港区のあるフィットネスクラブでは月末になると「入会料無料!あと5人」と看板を出すが、受付に若者は来ない。40代のトレーナーは「今こそ若者を取り込まないと業界の成長はない」と話す。
ティップネスは今年3月、24時間営業の新業態「ファストジム24」を新モデルの第1弾として始めた。「長期にわたって成長するため必要だ」と武信幸次社長は話す。
月会費が通常店よりも3割安く、若年層の呼び込みに成功している。同社はこうしたモデルをさらに強化するうえに、今後は日テレ傘下に入って相乗効果を探る。
ただ24時間型ジムはすぐに模倣されるなど、独自のビジネスモデル創出が難しい業界でもある。サントリーHDの社内ベンチャーとして1986年に発足したティップネスが、新たな親のもとでシニアと若者を両輪にした成長モデルを築けるかに注目が集まる。
◆◆◆2014.11.24 日経MJ◆◆◆
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脱メタボ指導で医療費3割減 厚労省、糖尿病など検証
厚生労働省は、40~74歳の健康保険加入者向けの特定健診(メタボ健診)や特定保健指導が、医療費を抑える効果について、検証結果をまとめた。糖尿病などの3つの生活習慣病でかかる1人あたりの医療費は、保健指導を受けた人が受けない人に比べ3割程度低いことがわかった。
厚労省が21日に開いた特定健診・保健指導に関する検討会で明らかにした。検証では内臓脂肪(メタボリック)症候群に関わる高血圧症、脂質異常症、糖尿病について入院以外でかかった1人あたりの医療費が、保健指導を受けた人と受けなかった人でどう違うかを分析した。
2008年度に特定保健指導を受けた人の翌09年度の医療費は保険指導を受けなかった人に比べて男性は34.8%、女性は34.0%少なかった。厚労省は「特定保健指導に一定程度の効果があることが明らかになった」としており、指導の実施率を引き上げたい考えだ。
◆◆◆2014.11.21 日本経済◆◆◆