戦後生まれの第一次ベビーブーム。いわゆる“団塊の世代”(1947~51年生れ)の人口は1063万人。実は私もその一人なのですが、この人口構成の大きなカタマリはこれまで日本の雇用や消費など社会全体へ大きなインパクトを与えてきました。アメリカはどうか。日本ほどの人口の塊はないにせよ、社会に大きなインパクトを与えてきたことは確かです。フィットネス市場の盛衰の背景にはいつもこの人々がいた。彼らがシニア世代となり、彼らをターゲットにした新手のクラブマネージメントが誕生しています。“OB&OGクラブ”(Old Body and Old Girl Club)などと言われいます。
彼らベビーブーマー世代はこれまでのシニア世代と大きく異なっている。とても元気で裕福な人々が多い。その裏側で、これまでのシニア世代とは異なり、メタボやロコモなど慢性的疾患を患っている人々も多い。健康度や体力度が二極化した人々。そこで彼らをターゲットした新手のクラブ形態が出現しています。特徴は小ぶりで多目的なスタジオ&プールが施設コンセプト。
多目的なスタジオは天井からベルトやハンモックを吊るサスペンド・エクササイズと称する自体重を負荷とした種類が中心。もちろん、ヨーガやピラティスなどその他多様なフロアーエクササイズをグループでもパーソナルでも行う。マシーンジムはない。一方、多目的なプールは階段式形状や壁面に各種パイプを張り巡らせたセラピープールが中心。もちろん、スイミング用レーンも一部ある。そして、スタジオ&プールで現場指導するスタッフが何とメンバーと同世代のシニア世代。経験豊富なベテラントレーナーやセラピストが多い。
こんな“OB&OGクラブ”向けに書かれたアクアエクササイズの案内文。『あなたがアクアフィットネスを必要とする7つの理由』(7 Reasons You Need Aquatic Fitness)を翻訳しました。会員限定ページ記載。今のアメリカ社会を支えてきたベビーブーマー世代の「水」との関わり方がよく分かる内容です。とても興味深い。例えば…
○元気過ぎるシニアがそれ故にスポーツ障害を負っている現状
○運動嫌いのシニアは慢性疾患を負っている(メタボとロコモ)
○内科的疾患のメタボの人々には水圧と抵抗を活用したメニュが必要
○外科的疾患のロコモの人々には浮力と水温を活用したメニューが必要
○アスリート向け補助トレーニングとしてプールでギアを活用する可能性
日本は今年で戦後70年。“失われた20年”の間に格差社会が広がりました。富裕層と呼ばれる人々が増えた。何と50世帯に一世帯は資産1億円、200世帯に一世帯は同10億円と言うのですから驚きます。とは言え、アメリカ社会と比べれば、まだマシと言えます。日本でアメリカのような“OB&OGクラブ”。つまり、フィットネス市場をセグメンテーション化した新クラブ形態が誕生するにはもう少し時間がかかるのかも知れない。日本の場合、アメリカのような高級レベルではなく、中級レベルが誕生するのかも知れません。今から準備しておいても決して損はない話しです…、いかがでしょうか。
『あなたがアクアフィットネスを必要とする7つの理由』(全訳)
会員限定ページ記載 こちらへ >>>